3つの「きく」



先日、久しぶりに母と電話で話をした。また捻挫してしまったらしい。また、というのも母は近年4回ほど捻挫をしている。左右交互に足首を。捻挫はどこの部位でも辛いが、足首は日常動作に大きく影響するから大変だ。

「学ばないのよねえ。ばかなのかなあ。」と言っていたので、「うん!そうだと思うよ!」と全力でママンの意見を肯定し、励ましの言葉を送っておいた。

4回も。ということに加えて、最初の3回はなんと、捻挫だというのに冷やしもせず、伸ばしたり揉んだりと丹念にマッサージをした上に、あろうことか、とどめに温泉にまで行ったらしい。結果、その後歩けないほど腫れてしまったと言っていた。まさしく、ゴールデン・トーチャー(黄金拷問)。本来やるべき処置の真逆である。

当然ながら、それでは悪化しかしないわけだが、「動けば治る」という謎の気合いで痛みを我慢し、日課のウォーキングやジョギングなんかも続けていたらしい。結局1年くらいずっと痛みがあったと言っていた。でしょうね!

捻挫の場合、まずはとにかく冷やす。最初に素早くしっかりと冷やす。そして、サポーターなどで固定して絶対安静。これが基本。怪我や痛みには色々あるけど、冷やすか温めるかなどの対処法はそれぞれに違う。逆をしてしまうと、当然ダメージを広げてしまう。

マイマザーほどの逆張りも極端な例だとは思うけど、意外とこういうことをやっている人は少なくない。要は体の声を聴いていない、聴けていないのだ。

体はとってもシンプル。いつでもド直球ストレートだ。痛い、眠い、お腹すいた、疲れた、気持ちいい、気持ち悪い。などなど。そのままの自分の状態をいつでもライブで届けてくれる、とても信頼できる優秀なリポーターである。そして、いち早くそのホットなニュースを取り入れて対処すれば、ほとんどの場合、一大事は免れることができる。

体の声を聴けない理由は、まず「頭でっかち」であることが上げられる。おそらく現代人の100人に120人くらいはそうだと思う。頭の中は常に情報過多になっており、その情報の山に埋もれて、結局一番大切な情報を取り逃がしてしまうのだ。

加えて、「思い込み」というこれまた厄介な障害物もある。古い情報がアップデートされないまま、蓄積された記憶や情報によって、体は痛いと言っているのに、動けば治る!とやってしまう。こうなるともはや、障害物どころか積極的な自分への虐待である。

いずれにしても「思考停止」の状態なわけだが、喜ばしいことに、これを再起動するのにとてもいい方法がある。

それは「体に聞くこと」

体の声を聴くために、体に聞く。すると、体に効く。
3つの〝きく〟のマジック。

痛みや不調がある場所、部位に対して、そこに手を当てながら「〇〇、大丈夫?」と聞いてみる。〇〇は部位の名称、あるいは自分の名前でもいい。そしてこれは、ただ聞くだけでいい。

もちろん、そこでできるだけ体の声や感覚を受け取ろうとするのもいいけれど、たとえ何も聴こえなくても、感じなくても、ノープロブレム。とにかく、ポイントは「聞くこと」。

これがスイッチとなって、あとは体が勝手に教えてくれる。たとえば、ふと「ビタミン摂ってみよう」とか、「水飲もう」とか、「温めてみよう」とか、「寝よう」とか。そんな感じで、ふとした感覚がやって来る。

これは特に痛みや不調がなくても、日々のセルフケアとしてとってもおすすめ。慣れてくると、ボディスキャンのように使えるようになってくる。聞くときのコツは、できるだけ細かく。レーザーを照らすように。

たとえば「足」だったら、足の指、足の爪、足の甲、足の裏、足首、ふくらはぎ、脛、膝、膝裏、太もも、足の付け根。。などなど。これだけたくさんの部位がある。その1つ1つに「大丈夫?」と聞いてみる。

その他、内臓や血管や骨や皮膚や神経など、細かく見ていけばものすごい数になる。でも実際に、人の体というのはそれだけのパーツがそれぞれに、うまい具合に働いているからこそ、こうして「ふつうに動ける」という状態になっているのだ。

これを奇跡と呼ばず、なんと呼ぼう。

「大丈夫?」と聞くついでに、「ありがとう」と言うのもすごくいい。何と言っても、他でもない自分の体。唯一無二のご神体。体は必ず応えてくれる。

おもしろいくらいに反応と効果があるから、ぜひ。お試しあれ。

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