リラックスのすすめ



焦りや不安、寂しさを感じる時、わたしは睡眠不足のことが多い。
よくよく観察してみると、自分でも、子どもでも、老人でも、犬や猫やトカゲでも、体の不調や不具合は心の不調や不具合に直結しているということが多々あることに気づく。

その真っ只中にいる時は、まさか睡眠不足が原因だなんて気づきもしない。でも、実際ぐっすり眠って睡眠不足が解消されると、それまであった感情やそれに付随して膨らんでいた妄想は、全て跡形なく消え去っている。これが大体のパターンである。

気分がよくない時や何かに悩んで出口が見つからない時などは、とりあえず寝る、というのは実際にかなり有効な手段の1つだと思う。

睡眠に限らず、例えばビタミンやミネラルなどの栄養素が不足していたり、便秘や水分不足だったり、身体のどこかが硬くなっていたり、フィジカルな原因がダイレクトにメンタルに影響していることはままある。というよりむしろ、影響していないことの方が稀なのかもしれない。体と心は文字通り切っても切れない関係なのだ。

人間の三大欲求の1つである睡眠は、不足すると心身ともに様々な不調を引き起こす原因になる。なぜ焦りや不安を感じるかというと、それは身体が休めていない=緊張状態にあるから。緊張にも様々なレイヤーや度合いが色々あるが、この場合、身体は休んで修復したがっているのに、意識は起きているのでそこで摩擦が起こり、その摩擦が緊張を生むのだと思う。あるいは、エネルギーが空回りしている状態とも言える。

緊張とはつまり、ONの状態である。そして、緊張が強まれば強まるほど交感神経の働きが活発になり、心臓は筋肉に血液を送るために血圧や心拍数を上げる。緊張それ自体は、身体が危機的状況に瞬時に対応するための大切なメカニズムだ。アスリートやパフォーマーなどはこの緊張状態を上手く利用して、最大限のパフォーマンスを引き出すというのもよく聞く話である。

つまり、心身ともに元気であるには、ONとOFF、緊張とリラックスのバランスがポイントなのだ。そして往往にして、実は緊張することよりもリラックスすることの方が難しい。力を入れる方が簡単で、力を抜く方が難しい、ということ。

人間の脳や身体は様々な危機に対応するように作られているということももちろんあるが、それに加えて現代は「(自)意識の社会」である。ただの”私”ではなく、何者かである”私”。何もしないことより、何かをすること。しかも、ただ何かをすることだけではなく、そこに意味や生産性、何なら「評価」を求められる。

現代人、特に若年層から増えていると言われている睡眠障害は、自律神経失調症やうつ病の原因にも大きく関係しているようだ。
いつでもどこでも、常にONの状態。これでは生物としてアンナチュラルだし、人間はそういう風にはできていない。昨今ぼんやりとどこか眠っているような感じの人が少なくないのも、実はOFFが足りてないからじゃないかと思う。
 
ゆるむ。ほどく。力を抜く。眠る。休む。リラックスする。
OFFにして修復再生するからこそ、人は人として機能する。ONのクオリティはOFFのクオリティで決まると言っていい。

でも、世の中では頑張ることや生産性を上げることについてはいくらでも方法論があり、推奨されているけれど、リラックスすること、OFFにすることは、それこそオマケ程度の扱いになっている風潮がある。

だからこそ、「能動的に」「積極的に」リラックスする時間を持つことがとっても大切。そして、呼吸法などの多少のテクニックがより深いリラックスを得ることができる。

生産性を上げたり、何かを成すことと同じように、休むこと、OFFにすることもやっていくことで、いい感じにバランスが取れると思う。

リラックス。それは、よりよく生きる最強の奥義。
攻めの姿勢で。だら〜んとゆるんでほどいていきましょう〜ね〜。

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